明けましておめでとうございます。
昨年は振り返ると「なんとかとりあえず無事に乗り切れたな」という感じの一年でした。CTO系のメディアで取材していただいた時にお話ししたりもしたのですが、身近なロールモデルがないことに挑むことが増えてきたなと感じることが多い昨今の中でも、これほど環境ややり方が大きく変わっていくのをまとめて体験したことはなかったのではないかというような一年でした。
というような始まりの文章をFacebookでPostしたのですが、去年感じた自分の大きな変化についてもう少し詳細に記載してみたいと思います。
メルカリでグローバルを意識して仕事をし始めたのが大きいのですが、これから継続的に自分や自分の働く企業を成長させていくためにはまだまだ自分の地力を上げていかないとならないなと感じる局面が昨年は多々ありました。
日本人て、特に僕くらいの年齢+-10歳くらいの人たちって恵まれてたんだと思うんですね。子供の頃は経済が右肩上がりできた時代で両親の世代は比較的裕福。その後1990年くらいのバブル崩壊から失われた30年と言われているそのあとの時代でも.comバブルとかインターネット産業の発達とかにも助けられて日本の国内で仕事があったし、賃金レベルも悪くなかったわけです。
ただ失われた30年の中で緩やかに環境は蝕まれていて、向こう30年を考えるとかなり厳しい感じになるのではないかということがなんとなく見える人には見えてきている、そんな状況が今なのではないかと思っています。
僕は経済学者ではないので今後の日本経済のことを正確に予測することはできないのですが、今後のリスクの仮説としては、経済規模が縮小していく日本において、仕事の量、対価などの条件が十分ではなくなるということが挙げられると思います。残念ながら人口も減っていく予測がされており、それにより経済規模が縮小すると税収が減るので内需に頼った政策も打ちづらくなり、景気は後退していきます。そうすると国内に仕事がなくなったり、より良い条件を求めるならば海外に出ていくということが必要になってきます。
ところが、日本は戦後しばらく経済的な大成功を収めていたため国内で仕事をしている方が環境面、待遇面ともに良いという時代が長く続きました。失われた30年に入ってからも、成長はほぼ止まってしまいましたが、規模は維持していたのでその経済圏の中で国民は生活ができていたわけです。そのため、海外に出て働く必然性はなく、語学の習得、異文化の中で生活を成り立たせるということにおいて、極めて不慣れな人が多くなってしまっています。
具体的な例を挙げてみたいと思います。僕は前職で技術担当役員というそこそこな上位の役職で仕事をさせてもらっていましたが、これは日本企業である前職の中でのアサインメントによるものです。技術担当役員の仕事を海外の企業で全うするには技術的ノウハウやスキルの面だけでなく、メンバーのマネジメントも必要ですし、同じボードメンバーとして他の役員たちと、ビジネスを行っている国のカルチャーを理解した上で議論をし戦略を立てていくことができなければなりません。今の自分が、そこで同じレベルの役割を担えるかというと、主に言語と異文化理解の面でちょっと疑問です。これは一例ですがこういうケースが今後増えてくるのではないかなということを強く危機感を持って感じました。国際社会の中でちゃんとポジショニングできる日本人がもっと増えていかないと、相対的に日本人のポジションは下がっていってしまうのではないかと。
これは前述したような経済的な環境的要因、および先を予測して教育をアップデートするということを怠ってきたことによる負債だと僕は考えています。この事実に対してどう立ち向かうのか、考え行動に移すことは非常に大切なことだなと、意識するようになったのは去年一年の大きな変化でした。
テーマが大きくなりすぎているので具体的に出来ることに戻して考えると、英語の学習と異文化圏の人たちと協調しながら仕事をする経験を積むことだと思います。日本人は戦後の成長期に入って以降自国が快適だったため海外に出ていく必要性が薄い時間を長く過ごしてきました。その状況が終わっていることを認識し、海外に出ていき、かつ今より良い環境を得られるにはどうするかを少しずつでも考え始めていくことが必要です。
もちろん日本の状況をよくするという活動も否定はしません。現在は大半の人が国内の環境改善に目を向けすぎていて、かつ効果的な打ち手がないことによって悲観してしまっているように見えます。どちらか一択ではないので両方に対して努力をしていくということを少しづつでも始める必要があるのではないでしょうか。
このことをもう少し抽象化して考えてみると、自分が子供の時から今まで生きてきた世の中がたまたまそういう時代だっただけであって、これから先はまた全然変わってしまうのかもしれない、というよく考えれば普通のことになんとなく気がつき始めた一年だったような気がしています。もちろん今まで生きてきた時間の中でも大中小様々な変化はあったのですが、もっと根底にあるルールであったり、日本人のベースとなる考え方であったりについても、変化していくものなのだなということをぼんやりとですが感じ始めた一年でした。変化に臨機応変にいたいとはずっと思っていましたが、変化にもっと敏感になる必要があるのだと思います。
このあたりことについて書きだすと一度に書ききれないので、今年はこういう考えていることを文章でアウトプットしていくというのを継続してやっていきたいと思っています。グローバルにどう向き合うかについては他にもいろいろな論点があるので、考えを順次書いていきたいと思います。
今年はいろいろな人とじっくりと様々な事柄について意見交換をしていきたいと思っています。このテーマについてもいろいろな方と意見交換をしていければなと考えています。近々皆さんをお誘いしに行くと思いますのでその時は皆様ぜひ温かくmm
渋谷の駅前もだいぶ様変わりしてきました。渋谷生まれの僕が小さい頃から見ていたのは正面の東急東横店だけくらいの変わりようですが、それも近々なくなってしまうとか。Slicetoneは一昨年にできたばかりの会社ですが、環境の変化は急激で強力です。大きな課題が解決できる会社になれるように、自力を蓄えて成長すべく本年も頑張りたいと思います。
令和二年元日
株式会社スライストーン
代表取締役 白石 久彦
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