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[映画評]海辺の生と死


先週、テアトル新宿で『海辺の生と死』を観てきた。

太平洋戦争末期の奄美諸島の島が舞台となっている。

永山 絢斗扮する特攻隊の隊長、朔が島に着任するところから物語は始まる。
朔は、大学出のエリート軍人。およそ他の軍人とは違い、戦争の無益さを感じ生きることへの執着を持っている。そんな彼が満島 ひかり演じる島で国民学校の教師をしているトエと出会い、恋に落ちる。緩やかに進められる二人の交流が、彼の出撃の日に向けて続けられていく。
特攻隊である彼にとっての出撃はすなわち死を意味することを二人は知っていて、その日が来ることに怯えながら愛を育んでいく。

たまたま大学を出て配属された部隊が「出撃=死」な過酷な部隊だったり、その出撃がきっと突然に来るだろうということだったり、戦況がだんだんと悪くなり敵国の戦闘機が急に平和な島の上空を飛んだり、そういうすごく非日常な事実でも、何の変哲も無いある日にきっと淡々と急に突きつけられたんだろうなということを思わされる映画だった。きっと僕らが生きている現代でもそうなんだろうなと思う。演者達の芝居がかっていない演技とシンプルなカメラワークが、そういう日常をドラマチックすぎずに淡々として描かれている点が逆に怖さを強調させる。

ちなみに鑑賞後、何かで知ったのだが、役者は満島 ひかりと永山 絢斗他何人か以外は全て実際の島の住民の方が演じていたらしい。妙にリアルに感じるのはそんな手法によるところもあるのかもしれない。


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