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'95は僕らの世代の'69たりえるか?


僕は'73年生まれなんだけど、音楽を聴いたり映画を見たり、最もサブカルチャーに触れていた時期というのは、90年代前半だったような気がする。年齢的に18~23、4歳くらいの頃だ。その前の一区切り、80年代後半には高校生だった。その頃、ギターを弾き始めて、音楽や小説や映画に触れる機会が多くなり、いろいろ見聞きしていたけれど、年齢から言って経済的、精神的に独立度が低かったせいか、やはり自分の過ごしたいわゆる青春ど真ん中の時期という点で行くと'90年代前半だったような気がする。今でも音楽は聴くし好きだけれど、あの頃のようにのめり込んで聞いていた時期はもう来ないのではないかなと思う。




僕が’95年に何をしていたかというと、大学を出て社会人1年目を某企業で送っていた。

学生時代からやっていた音楽に対してもまだそこはかとない憧れを抱きつつ、でも、就職して時間がないことを言い訳にして活動をするわけでもなく、本当にだらだらすごしていた。それなのに、今や生業にしているTechnologyに関係する仕事に携われていたのだから運が良いのかもしれない。月~金は適当に働いて週末金曜か土曜はクラブに行って、その翌日は寝て過ごす。「こんなままではまずいなあ」なんて考えながら。

'95年頃、僕がそんな生活を送るバックで流れていたのは、秀逸な日本のアーティストの楽曲たちだった。
後に渋谷系なんて言葉でくくられる人たちを中心にして音楽シーンは盛り上がっていた。


スチャダラパーは名作『5th Wheel to The Coach』をリリース。その中の『Summer Jam '95』は何度も聞いたし今でも夏になれば聞いている(今年はまだだな)。


スチャダラパー
『5th ホイール 2 ザ・コーチ』
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94年にこれまた名盤『LIFE』を出した小沢健二は、そのアッパーなテンションを継続して秀逸なシングルを連発しながら、テレビにもがんがん露出して世の中の王子様となっていた。迎合することなくメディアを席巻していた。

小沢健二
『LIFE』
https://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B00005GLJB/fromlakesidet-22?dev-t=D3A0EVSPCPV0FK%26camp=2025%26link_code=sp1


Tokyo No.1 Soulsetのメジャーアルバムのリリースもこの年だった。彼らがいなければ後のドラゴンアッシュの活躍もなかったと思う。


TOKYO No.1 SOUL SET
『TRIPLE BARREL』
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サニーデイサービスは『若者たち』というフォーキーな名作を出して、渋谷系に続く音楽シーンの指針を打ち出した。
いまいちぱっとしていなかったスピッツも『ロビンソン』で大ブレイクし、その後は目がヒットを連発した。エレファントカシマシやウルフルズ、イエローモンキーなんかも続くことになる。


サニーデイ・サービス
『若者たち』
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スピッツ, 草野正宗
『ハチミツ』
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夏の代々木公園では規制される前の野外プチレイブが頻繁に行われていて、たまたま酔っ払ったあとに涼みに行ったときにはカーディガンズの『Carnival』が大音量でかかっていた。

カーディガンズ
『ライフ(+5)』
https://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B000006XG9/fromlakesidet-22?dev-t=D3A0EVSPCPV0FK%26camp=2025%26link_code=sp1

Rockin'onとかRockin'on JAPANとかHとかはかかさず読んでいて、「ジェネレーションXだ!」なんだと、趣味の合う友人と論じ合っていた。映画『Reality Bites』はバイブルのようなものだった。


『リアリティ・バイツ』
https://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B00005NJON/fromlakesidet-22?dev-t=D3A0EVSPCPV0FK%26camp=2025%26link_code=sp1


「'95は僕らの世代の'69たりえるか?」

坂本龍一や村上龍とかちょっと前の世代の人たちが、自分たちの青春を振り返るとき『'69』年を切り口としていることが多いけど、僕らの世代の切り口って『'95』なんじゃないかなって思って。

『69 sixty nine』
https://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B0002UA3M8/fromlakesidet-22?dev-t=D3A0EVSPCPV0FK%26camp=2025%26link_code=sp1


95年の僕の話に戻ると、なんでだか忘れたけれど、「めんどくさいことはせず、なるべく楽して暮らそう」という風に生きていた僕が、「自分の持っているエネルギーを限定して考えるのはもったいない」と180度違う考えに至ったのもその年だった。何かがきっかけで「時間の有限性」を痛感したことが原因だった気がする。よく覚えていないのだが。それによって仕事を通じてインターネットが面白くなってきたり、もう一度ちゃんと音楽もやろうと思ってバンドをまた始めたり、いろいろなことに手を出してみることになる。他にも色々やり始め、突飛だけど決意した瞬間はいつにないスケールの決意だったような気がする。青春ってそんなものかもしれない。その後、がらりと周りの世界が転換される'96年がおとづれるのだがそれはまた別の機会に。

青春ってやってる時は「さえないなあ」と思って気がつかないけれど、きっと全員にあるものなんだろうな、今振り返るとそんな風に思う。95年は自分にとってまさにそんな年だった。

#思い出話をしたり、先のことを予測したりする過去未来日記の機能”Topical Date”のユーザーテストを兼ねて10年くらい前に書いた文章を手直ししてみました。




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