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小学生だった頃、よくベストテンとかヒットスタジオとかの歌番組を見ていた。80年代中旬の頃である。当時からバンドっぽいグループが好きで、特にサザンオールスターズが大好きだった。

今でこそサザンは不動の地位を確立しているが、80年代の彼らは、もちろん音楽業界から桑田佳祐氏の異才は認められつつも、そこまで確固たる地位を築いてるわけではない、一歌謡ロックバンドという位置付けであった。お茶の間のお母さん方はそんな音楽業界的な評価すら何も知らず、変わった歌を歌う、楽器を演奏する若者たちとの位置付けだったのではないかと思う。うちの母がそうであった。

小学生の僕がなぜサザンに興味を持ったかというと二つある。

一つはやっぱり音楽性を含めた彼らのたたずまいであった。今思えば洋楽のペーソスをふんだんに取り入れた、当時としては画期的な作風と、桑田さんを中心とした独特のパフォーマンスに、渋谷生まれ小学生だった僕はビシビシと刺激を受けていたのだと思う。決して、「小学生からセンスあったんすよ」みたいなことが言いたいわけではない。1984年、11歳くらいの時のことではあるが。

もう一つは"サザンオールスターズ"という名前であった。主に「オールスターズ」の部分に反応をしたのだが、自分たちでオールスターズ=すごい人たち、と名乗るセンスが最高だなと感じたことを覚えている。後日、桑田さんの友人が当時流行ってたサザンロックとアメリカかどこかのバンドについてたオールスターズというのをくっつけて考えたという話を聞くが、そのころはそんなことはつゆ知らずそう思っていた。

名前からして自らをすごいだろう的に言いつつも、やっていることはコミカルな要素をふんだんに含んだパフォーマンス、かつ楽曲は最高。小学生の僕にしてみれば最高にクールであった。当時の日本人は、うちの母なんかが特にそうだったからかもしれないが、今よりもなんぼか「謙虚が美徳」感が強い社会風潮の中で、実力を兼ね備えて有言実行しているサザンは憧れであった。

「名前超重要」という話をしたいなと思ってこの話を書きはじめたがサザンの話が思いの外長くなってしまった。自分で色々な創造物を出すときに僕は割と名前先行で考えることが多い。いいなと思える名前が決まると、それに関する活動に力が入るものである。名前をつけると30%くらい仕事が終わったように感じることもある。

最近"Official髭男dism"というバンド(?)がいてよく曲が流れている。彼らのネーミングの「Official」のところにサザンの時の「オールスターズ」の部分を感じて、良い名前だなあと名前を耳にするときに思う。自分たちでオフィシャルって言ってしまうのがチャーミングだなと。率直にいうと「男dism」のところはそんなに好きではない。

バンドの名前の傾向でいうと、Bump Of Chicken(弱者の反撃)、RADWIMPS(マジすげービビリ野郎)とか最近のメガヒットバンドとは全く逆の感性だなと思う。彼らの圧倒的なセールスを考えると、やっぱり今の世の中ナイーブな方が主流ということなのか。かく言う僕も曲はBumpとかRADの方が断然好きである。





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