1994年8月 x 小沢健二
小沢健二の『Life』の曲を聴くとリリースされた1994年の夏を思い出す。
ちょうど僕は大学4年生で、卒業を間際にしつつも就職活動も適当で、でもなせか将来についての不安なんかは何も感じずに過ごすという奇跡的な夏を過ごしていた。特に何か一生食べていける特技があるわけでもないのに、なんでそんな風に楽観的に生きていられたのかは今でもわからないし、もう一回同じことをやれと言われてもきっと無理なのではないかなと思ったりもする。
若さと馬鹿さと「まあなんとかなんじゃない」という楽観さと、そもそも世の中を知らないから高望みしてない無知があいまった、奇跡的な状況だったんじゃないかと、今思い返しても怖くなる。だから、もう一回同じことをやれと言われてもきっと無理なのである。
そんな頃のことを思う時にバックグラウンドにかかっていたのは『Life』に入っていた曲たちである。もうそれだけで自分にとって特別なアルバムであるし、多分、一生のうちで一番聞いたアルバムだと思う。それはもうきっと更新されずに、死ぬまでそうだろうなと思う。
最近活動を本格的に再開したオザケン氏のライブに行くと、今も変わらず『life』に入っている曲をやってくれる。2010年代も終わろうとしているこの時代に当時と変わらずに、である。20年以上経って、自分は変わらないつもりけれど、自分を取り巻く状況は大きく変わったんだなあと、最近ようやく思う。
オザケン氏は2010年くらいから『Life』に入ってるある曲を歌う時、歌詞を一部変えて歌っていたりする。そのくらいには自分も変わったのかもしれないなと、ライブで聴くたびに思う。またさらに変わったりするのかもしれないしなと思いつつも、本質的なことの変化ってきっとその程度なんじゃないだろうかとも思ったりする。
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