政治
    
記事内にプロモーションを含む場合があります。
最近、日本の政治がざわついています。
その理由のひとつが、高市早苗氏が女性として初めて自民党総裁、そして内閣総理大臣に就任したこと。
長い政治の歴史の中でも、大きな節目となる出来事です。
「自民党=与党」というイメージを持つ人も多いのではないでしょうか。
ですが、実はこの「与党の座」、揺らいだことが過去に2回あるんです。
それは1993年と2009年。どちらも時代の空気が大きく変わった瞬間でした。
モヤ美
2009年の民主党への政権交代はよく覚えているよ。 1993年にも野党に転落していたのは知らなかったな。
牛
若い世代は知らない人が多いかもね。
野党に転落してから政権奪還までの背景をまとめたわよ。
自由民主党(略称:自民党)は1955年に誕生しました。
自由党と日本民主党が合併してできたこの政党は、戦後日本の政治をずっと引っ張ってきた存在です。
いわゆる「55年体制」と呼ばれる時代で、なんと38年間も与党の座に君臨し続けてきました。
しかし、その「鉄壁の牙城」にも綻びが見え始めます。
1980年代の終わりごろ、日本はバブル経済で沸いていました。
街には高級ブランドの紙袋を持つ人があふれ、土地の値段はうなぎ登り。
そんな空気のなか、自民党の政治も「お金と権力」が強く結びついていきます。
やがてバブルは崩壊。
経済が一気に冷え込むと同時に、政治家と企業の癒着が明るみに出ました。
リクルート事件、東京佐川急便事件…。
連日のようにニュースで政治スキャンダルが報じられ、人々の「政治不信」はピークに達します。
リクルート事件についてはこちらの記事をご覧ください↓
そして1993年6月、自民党内の有力議員が次々と離党。
細川護熙氏を中心とする新生党など、反自民勢力が結集し、細川連立政権が発足しました。
結果、第40回衆院選で自民党は過半数に届かず、初めて野党に転落します。
長年「政権与党」として君臨してきた政党が、初めてその座を失う...。
このニュースは当時、大きな衝撃として全国を駆け巡りました。
ただ、自民党はすぐに立ち直ります。
1994年には社会党との連立によって政権復帰を果たし、再び政治の中心に戻りました。
それから約16年後、再び自民党が政権の座を明け渡す時がやってきます。
2000年代後半、日本では長期政権による閉塞感が強まっていました。
政治と官僚の関係は硬直化し、景気もなかなか回復しない。
国民の間には「何かを変えなければ」という空気が流れ始めていました。
そんな中、民主党が掲げたのは「政権交代」。
これまでの政治を一新し、新しい形の政治を実現しようという強いメッセージは、当時多くの人たちの心をつかみました。
2009年の衆議院選挙で、民主党は圧勝。
鳩山由紀夫氏が首相となり、歴史的な政権交代が実現しました。
自民党は16年ぶりに野党へと転落します。
このときは、1993年とはまた違った「世論のうねり」がありました。
バブル崩壊後の政治不信がきっかけだった前回と違い、今回は「今の政治を変えたい」という国民の「希望」が大きな力となっていたのです。
とはいえ、自民党はこのまま終わりませんでした。
民主党政権では、マニフェスト未達や外交能力の欠如などをめぐる混乱が続き、国民の支持は徐々に低下。
2012年、自民党は安倍晋三氏のもとで政権に返り咲きます。
ここから始まった「第二次安倍政権」は、戦後でも有数の長期政権となりました。
この「政権奪還」のスピード感こそ、自民党の強さの象徴かもしれません。
長い歴史の中で、危機を何度も経験しながら、そのたびに形を変えて政権の座に戻ってきたのです。
そして2025年。
女性初の首相・高市早苗氏の誕生は、日本政治にとっても、自民党にとっても新しい節目です。
かつての自民党は「男性中心の政党」というイメージが強く、長期政権の象徴でもありました。
そんな自民党のトップに、女性が立つというのは歴史的な出来事です。
一方で、時代は大きく変わり続けています。
人口減少、国際情勢の緊張、デジタル化と社会の多様化など、課題は山積みです。
高市政権の誕生は、自民党が新しい時代にどう向き合うのかを問う「スタートライン」でもあります。
「自民党はずっと政権を握っている」というのは、ある意味で正しく、でも少し違います。
実は2度も政権の座を明け渡し、そのたびに復活してきた政党なのです。
それはつまり、日本の政治は「永遠に変わらないわけではない」ということ。
時代の空気や国民の思いが政治を動かし、権力の座を揺るがすこともある。
その現実を、過去の歴史は静かに物語っています。
高市政権の誕生をきっかけに、あらためて自民党の歴史を振り返ると、今の政治の意味が少し見えてくる気がします。
「強い政党」とは、ただ勝ち続けることではなく、時代の変化の中でどう生き残るか...。
その姿勢が問われるのかもしれません。
高市首相が今後どのような改革や成果を実現していくのか、目が離せませんね。
                  
  |