日常の出来事/日記
最近ニュースで繰り返し報道されている、「5歳児餓死・ママ友洗脳事件」。
事件があったのは2年前ですが、今月21日に主犯の女の判決が言い渡される予定です。
そして、記憶に新しいのが今年7月に起きた「安倍元首相銃撃事件」。
容疑者の供述から、某宗教団体による洗脳被害が発端であることが明らかになりました。
平和なはずのこの国で、洗脳事件はどうして後を絶たないのでしょうか?
あなたは「洗脳事件」と聞いて、どんな事件を思い出しますか?
私が思い浮かぶのは、ぱっと思い出しただけでも3つあります。
どれもここ20〜30年以内に発覚した出来事です。
TOSHI洗脳事件は被害者が当時人気絶頂の芸能人だったことで大きな注目を集めましたし、尼崎事件や北九州監禁殺人事件は、関係者・被害者の多さ、家族で殺し合いをさせたその卑劣さに言葉を失う人が多かったのではないでしょうか。
それぞれとても複雑な事件ですが、内容を簡単に説明します。
人気絶頂だったX JAPANは、1997年に解散しました。(その後、2007年に再結成)
解散した年の4月、解散に先立ってボーカルのTOSHIさんが脱退しているのですが、この脱退に洗脳組織が関わっていたことが明らかになっています。
この洗脳組織は「ホームオブハート」というカルト団体で、TOSHIさんの当時の妻・元歌手の守谷香さんが、TOSHIさんをこのカルト団体のセミナーに連れて行ったことで洗脳が始まったと言います。
TOSHIさんは当時X JAPANのメンバーとの間に確執があり、さらに実の親や兄弟との金銭トラブルも抱えていました。
そんなTOSHIさんにつけ入るのは簡単だったのでしょう。
次第にTOSHIさんはカルト団体の言いなりになり、X JAPANのトレードマークだった派手な化粧や髪型をやめ、別人のような見た目になっていきました。
このカルト団体の代表だったmasaya氏はTOSHIさんを暴力や暴言で支配し、計10億円にも上るお金を奪ったそうです。
TOSHIさんをカルト団体に紹介したのは元妻の守谷さんであることから、元妻との出会いから交際、結婚に至るまで、全てが仕組まれているような感じがしますね。
TOSHIさんは人を信じやすく優しい性格だそうで、加えて家族やメンバーとの揉め事や悩みが多かったと言います
きっとそこにつけこまれたのでしょうね。
結局TOSHIさんは自力で洗脳を解くことに成功したのですが、その時にはX JAPAN時代に稼いだお金をほとんど失い、借金を背負い破産してしまいました。
しかも、すでにX JAPANは解散し、メンバーだったhideは亡くなっていました。洗脳によって失ったものはとてつもなく大きかったのです。
TOSHIさんの洗脳事件については、自伝「洗脳」で詳しく語られています。
気になる方はぜひ読んでみてください。
卑劣でおぞましい洗脳事件といえば、「北九州監禁殺人事件」。
映画「愛なき森で叫べ」、小説「ケモノの城」「殺し合う家族」、マンガ「闇金ウシジマくん」の「洗脳くん編」などさまざまな作品のモデルになっており、まさに犯罪史に名を残す事件であるといえます。
この事件では松永太という男と、その内縁の妻・緒方純子の2人が逮捕されており、幼い子供を含む7人が死亡、2人が負傷、その他多くの人々が暴力や詐欺被害に遭いました。
松永は人の弱みにつけこんで金を巻き上げ、マインドコントロール下に置き、用済みになった人間は自分の手を汚さず別の人間に殺害させ、死体処理までもを行わせていました。
まず松永は内縁の妻・緒方を暴力や話術で巧みに支配し、次第に緒方の父母、妹、妹の夫や子供に至るまで緒方家全員を洗脳下に置きました。
また、知人で不動産会社勤務だったAさんを利用して潜伏先の部屋を確保させ、Aさんにも洗脳や虐待を行い、当時小学生だったAさんの娘も管理下に置いていました。
最初の死亡者であるAさんが死亡したのが1996年ですが、Aさんの娘が逃走して2002年に事件が発覚するまで、被害者のほとんどは松永が管理する部屋で共同生活を送らされていました。
多くの人が関わり、7人もの死亡者が出ているにもかかわらず6年間も事件が発覚しなかった点に、この事件の異常性が現れていますね。
それもそのはず、被害者は全員松永によるマインドコントロールを受けており、それぞれが弱みや秘密を松永に握られ、誰も松永に逆らえない状況に陥っていたからです。
松永はいわゆる「サイコパス」的性質を持った人間だと言われており、目的のためなら平気で嘘をつき、人を欺き、暴力や暴言で他人を支配していました。
また、その容姿や話術から異性に好感を持たれやすく、非常にモテていました。
狙った女性を落とすためには手段を選ばなかったと言います。
例えば、音楽好きの女性を狙っていた際は、松永は「バンドをやっている」と嘘をついて女性に近づき、嘘を本当にするために自身の経営する会社の従業員に1ヶ月間特訓をさせ、本当にライブを開催したというエピソードがあります。
このエピソードだけでもその異常性が伝わるかと思います。
とてつもない行動力と話術を持った松永に、騙される人が続出したのも不思議ではありませんね。
結局Aさんの娘が逃げだしたことで事件が明るみになりましたが、もしこの時逃走が失敗していたら、今も事件は発覚せずに松永は洗脳や虐待を続けていたかもしれません。
松永は2011年に死刑が確定しており、福岡拘置所で執行の日を待っています。
緒方は加害者であると同時に被害者でもある点が考慮され、無期懲役判決が下されています。
監禁生活中、松永と緒方の間には2人の息子が生まれており、長男はYoutubeで両親に関する動画をUPしています。気になる方はぜひ見てみてください。
兵庫県尼崎市で起こった悲惨な大量殺人事件、通称「尼崎事件」。
この事件では死亡者が7名、行方不明者3名、逮捕・書類送検された人物が17名もいることや、主犯の女を中心に「擬似家族」が作られていたことが大きな話題を呼びました。
主犯の女・角田美代子は逮捕されたのち拘置所で自殺しており、多くの謎が残されたまま事件は幕を閉じました。
この事件は1987年ごろから始まり、2011年に角田やその他関係者が逮捕されるまでおよそ25年にも及び、判明している事件の他にも、当時は自然死・事故死として処理されていた殺人事件や、時効のため起訴できなかった事件もあります。
また、被害者が加害者でもあるという非常に複雑な関係で、ほとんどの関係者は角田らからひどい暴力を受けていたにもかかわらず、加害者として逮捕されています。
さらに角田を中心とした「擬似家族」が形成されていたことで、事件はより難解なものになっています。
角田は養子縁組や結婚によって、血縁のない他人を「擬似家族化」していきました。
さらにその擬似家族の実家や兄弟の家庭、そして全く血縁のない知人の家庭までもをめちゃくちゃにし、一家まとめて餌食にしていたのです。
この事件の顛末を文章で表すと非常に複雑でとんでもない長文になってしまいますが、こちらの図でわかりやすくまとめられていました。
尼崎事件の相関図これが1番わかりやすかった pic.twitter.com/DlWic8qk62
— しぐれちゃん💙 (@shigurechin) September 7, 2022
サザエさんで例えるとすんなり頭に入ってきますね。
この事件では多くの被害者がいるのですが、特に悲惨な結末を迎えたのは川村博之とその妻の実家・大江一家だと言われています。
私鉄職員だった川村博之は、「電車の扉にベビーカーが挟まった」という内容のクレームに対応しました。
このクレームの主こそ、一連の事件の主犯・角田美代子だったのです。
角田は何度も川村を自宅に呼び出しては、金銭の要求を繰り返しました。
4ヶ月に及ぶ協議の末、「私鉄会社が3万円を角田に支払う」という条件で和解を提案したのですが、角田は「20万円よこせ」と譲らなかったと言います。
川村とその上司は角田に要求されるがままに、自腹で捻出した18万円を角田に渡してしまいました。
ここで川村の上司は危険を察知し角田との関係を早々に断ち切りましたが、川村は角田に目をつけられてしまい、ことあるごとに角田の自宅に呼び出され、関係を深めていきました。
その後、角田は川村に勤務先を退職させ退職金を巻き上げ、子供を預かって手懐けたり、妻・裕美と対立させ離婚させるように仕向けたりと、川村とその家族を懐柔していきました。
そして、川村一家と妻の姉・大江香愛、母・大江和子さん、川村の兄などを巻き込み、「家族会議」と称して長時間拘束し、その過程で殴り合いをさせたり、互いに監視させたりして、家族の絆を破壊させたのです。
2011年、虐待の標的だった妻の母・大江和子さんが死亡したことをきっかけに、虐待の矛先は妻の姉・香愛に向きました。そして、耐えかねた香愛が逃走し、交番に助けを求めたことで事件が発覚。
1987年頃から続いた家族乗っ取り連続殺人事件がようやく明るみに出たのです。
あの時クレームに対応していなければ。あの時角田に18万円を渡していなかったら。あの時危険を察知して断っていれば。川村は今も私鉄職員として働き、家族みんなで幸せに暮らしていたに違いありません。
詳しい解説はこちらのYoutubeで見ることができます。
「何があっても自分は絶対に洗脳被害に遭わない」と言い切れる方はいますか?
自信がある方もいれば、ちょっと自信がない人もいると思います。
正直私は自信がありません。
でも、洗脳の被害に遭う人が必ずしも弱いわけではありません。
洗脳をする人は、洗脳できそうな相手を選んでいます。
悩みを抱えている人、孤独な人、コンプレックスがある人、断れない人、優しい人。
自分がコントロールできそうな人を選んで、人の心の隙に付け込んで、相手をマインドコントロールしていくのです。
決して被害者に落ち度があったとか、弱かったとかではなく、洗脳できそうだと判断した人を徹底的に追い込んでいくのです。
どの事件でも共通していることですが、洗脳の過程では嘘や脅しを利用して相手を追い込みます。
例えば、冒頭で紹介した「5歳児餓死・ママ友洗脳事件」では、「別のママ友が悪口を言っている」「夫が浮気しているから離婚した方がいい」「ボス(犯人が作り上げた架空の人物)が監視している」などと、一見真実味のある嘘を重ね、自分に依存させていきました。
「北九州監禁殺人事件」では、最初の被害者Aさんが実はカツラをかぶっていたというコンプレックスを利用し、「言うことを聞かないとカツラのことをばらす」と脅していました。
「尼崎事件」では、クレーム対応の際、川村が会社に黙って18万円を自腹で捻出したことについて「会社にばらす」と脅して服従させていました。
最近話題の「統一教会・霊感商法」では、「この壺を買わないと地獄に落ちる」「この教典を買わないと不幸になる」と、信者を脅し洗脳しています。
洗脳の手口はどれも似ているにもかかわらず、被害が後を絶ちません。
それは決して被害者が弱いからではなく、加害者が異常だからです。
自分や家族が被害に遭わないために過去の事件から学べることは、
などでしょうか。
洗脳の被害に合わないためには、こちらも関わる相手を見極めることが大事ですね。
今回は、多発する「洗脳事件」についてまとめてみました。
もしかしたら、今も日本のどこかで「尼崎事件」「北九州監禁殺人事件」のような事件が進行しているかもしれません。
被害者・加害者にならないためにも、過去の事件から学んでおきたいですね。
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