学問
AI、機械学習、ディープラーニング、ニューラルネットワーク。
最近さまざまな場面でこれらの言葉に出会うことが多くなりました。
実は、自由エネルギー原理も近年注目されている理論の一つなんです!
エネルギー?原理?何か難しそう…と思う方がいるかもしれませんね。
今回はそんな方に向けて、自由エネルギー原理の概要を簡単に解説します!
自由エネルギー原理とは脳の理論の一つです🧠
AIも人間のようにいろいろな情報をもとにして将来を予測することができます。
しかし、AIによる予測はまだまだ完璧ではなく、とんちんかんな答えを出すこともしばしばあります。
自由エネルギー原理という脳の理論を利用することによって、今後AIの予測の精度を上げることができるようになるかもしれません!✨
脳は神経細胞という細胞が集まってできていますが、それらの神経細胞によって、「どのようなしくみで知能というものができあがっているのか」ということが昔から考えられていました。
その謎を解明するための数理的なアプローチのことを自由エネルギー原理といいます!
この理論は、イギリスの脳科学者であるカール・フリストンによって提案されました。
ひとことで説明すると、「生物の知覚・学習・行動は自由エネルギーというコスト関数を最小化するように決まり、その結果生物は外界に適応できる」という理論です。
コスト関数とは、位置エネルギーのようなものです。
山をひっくり返したようなグラフをイメージすると分かりやすいかもしれません⛰
コストが低くなる(=グラフの中央に移動する)方向に変化する動きが、神経細胞の活動を表しています。
今回紹介する動画の中では、犬と飼い主の例が2つ挙げられています🐶
1つ目は、相手の行動から推論を行うときに動作する例です。
飼い主は体調や機嫌などによって日々異なるふるまいをしますね。
その飼い主から発せられた信号を受け取る、つまり飼い主からの感覚入力があると、犬は飼い主の気持ちを推論し、その期待値を脳内で表現します。
「犬が推論を行っている時の脳の活動」を数式で表したものが自由エネルギー原理です。
2つ目は、推論から行動を生成する例です。
エサが欲しい犬は、将来期待される行動を自ら推論し、その中から行動を選択します。
「行動を選択する時の脳の活動」を数式で表したものが自由エネルギー原理です。
推論をもとにして行動を生成すると、犬が欲しいと思っている感覚入力を得る確率が上がっていきます。
つまり、欲しいものが手に入りやすくなるということですね。
自由エネルギー原理に関する本はいくつも出ていますが、数理的な内容をやさしく解説してくれている本がありますので、ぜひそちらも合わせて読んでみてください!
7.『脳の大統一理論』
— Daichi Konno / 紺野 大地 (@_daichikonno) May 3, 2022
脳の理論は様々あるが、それらを統一する理論として期待されているのが自由エネルギー原理。
本来は数式びっちりの理論ですが、この本では噛み砕いてエッセンスを紹介してくれます。
この先さらに注目されること間違いなしの理論を知りたい人はぜひ。https://t.co/bXg7v4tVXI
自由エネルギー原理とは具体的にどのようなものなのかについて理解するには、まず脳のしくみを知ることが重要になります。
脳は、神経細胞という細胞が集まったものであると説明しました。
これらの神経細胞はいくつもつながっており、電気の信号によってさまざまな情報を伝達しています。
この神経細胞の電気信号は、なんと電気回路のように回路で表すことができ、それをもとに方程式を作り計算することができるんです!
人の頭の中にある細胞の活動を式で表すことができるなんて不思議な感じがしますよね。
この神経細胞の方程式は、コスト関数の勾配、つまり微分によって導くことができます。
神経細胞に関する数理的な研究は、日々すすめられています。
現在すすめられている研究についてもっと知りたい!という方は、ぜひ理化学研究所のホームページなどを参照してみてください✨
自然科学の最後のフロンティアともいわれる #脳と心。神経細胞の方程式と #自由エネルギー原理 という異なるアングルで脳を数理的に理解することの意味とその面白さを語ります。#クローズアップ科学道 「物理学と統計学で脳を理解する」#理研 #科学道https://t.co/RdQjtf1QFv
— 理化学研究所(理研) (@RIKEN_JP) March 22, 2022
自由エネルギー原理は、脳の活動を説明することを可能にし、さらには神経心理学や精神疾患の理解を深めるためにもとても重要なものです。
一般的に、脳の神経基盤はその生物の行動に大きな影響を与えるといわれています。
これは統合失調症などの精神疾患でみられる幻覚・妄想とも関連があります。
将来的には、精神疾患の診断・治療を行うための神経基盤を早く見つけることができるようになるかもしれません!
また、脳の計算を模倣したニューロモルフィックデバイスというものが近年注目を集めています。
ニューロモルフィックデバイスとは、脳の神経系システムをもとにして作られるデバイスのことを指します。
これはロボットの動きのコントロールや、工場の画像認識などに利用されています。
自由エネルギー原理を利用することによって、さまざまな種類のタスクを実行する自己学習型のニューロモルフィックデバイスが設計しやすくなり、電力・材料費・計算時間などのコスト削減にもつながります!
そのため、人工知能にさまざまなタスクを効率的に実行させることもできるようになるといわれています🎵
自由エネルギー原理に関する研究は日々すすめられています。
これらの分野に関する論文を紹介している動画もありますので、是非見てみてください!
今回は自由エネルギー原理についての動画を紹介しました。
脳の理論と聞いて最初は生物学的な内容がメインなのかな?と思いきや、数理的な話も多くあり驚きました。
今後活用が広がっていくと考えられている理論でもあるため、是非チェックしてください😊
次回のYouTubewalkerもお楽しみに!
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