エンジニアのさんとものづくりYoutuberのものづくり太郎さんによる対談では、今後10年スパンで到来が確実視される「メタトレンド」と、それに伴い日本企業が注目すべき分野について詳細に語られました。
真のトレンドは、スマートグラスのようなデバイスそのものではなく、24時間ユーザーが見聞きするものすべてを共有し、アドバイスを提供するAIアシスタントの時代が到来することです。現在デバイスの形態はグラスやカメラ付きイヤホンなどが現実的ですが、将来的にはどのようなデバイスになるかは不明であり、アシスタントが常にそばにいるという状態が重要視されます。
AIの進化は、大規模言語モデル(LLM)と連携した物理的なAI、すなわちロボットやヒューマノイドの分野で大きな市場を生み出すと予測されています。
• 技術統合の複雑性: ヒューマノイドロボットは、単純な動作ではなく、チャットGPTやGeminiのようなプロンプト(例:「ヘルシーなものを持ってきて」)で指示を受け、空間認識、カメラによるビジョンデータ処理、そして36軸にも及ぶ関節のリアルタイムな重量バランス制御など、多くの複雑な技術要素を統合することで動作します。
• 用途と課題: 工場での定型作業は比較的簡単ですが、家庭での洗濯や皿洗いなど、要求が予測不能な日常生活のほうが難しいと議論されています。また、工場の現場情報(OT領域)はインターネット上の大規模言語モデルに含まれていないため、転用には困難が伴う可能性が指摘されています。
• 日本企業の期待:
◦ トヨタ自動車: 電気自動車や自動運転への遅れが懸念されるものの、製造業における現場(OT領域)の情報を大量に持っているため、現場に強いロボット開発への貢献に期待が寄せられています。
◦ 川崎重工業: ロボット業界で国内第3位であり、ヒューマノイド開発にも取り組んでおり、特に犬型ロボット(チーター/トラのような動きをする)のビジョンを込めたビデオを制作したことが、エンジニアの心を動かす「ビジョン」として評価されています。
• 自動運転: タイヤがついたロボットであり、10年後には起こるトレンドとされます。自動車は所有する時代から、必要な時に呼び出す時代へと変わり、最終的には人間よりも安全性が高くなると見込まれています。
• ミニマルファブ(半導体): 将来のIoT時代には、あらゆるものにカスタムチップが必要になりますが、現在の大量生産型のファブでは対応できません。ミニマルファブは、0.5インチウェハを使用し、小さな工場でチップを約2日で安価に製造可能にする技術であり、日本で作られていて、日本の産業構造に非常に向いているとされています。
• 新薬開発(AlphaFold): GoogleのAI技術「AlphaFold」は、タンパク質がどういう順番で結合するとどういう3次元構造になるか、という難問をほぼ解決しました。これにより、AIを使ってピンポイントで特定のウイルスを攻撃するタンパク質を設計するなど、新薬をカスタマイズして作り出すことが可能になります。
• 電力インフラ(タービンとトランスフォーマー): 核融合のような無料の熱源が実現しても、熱を電力に変換するタービンは必須であり、製造会社にはコストが落ちます。また、AIサーバーの需要増大により、高圧電力を低圧(100V/200V)に変換する**トランスフォーマー(変圧器)**が世界的に不足しています。
• ソニーグループ: ロボットの「目」となるカメラの部品、特にCMOSセンサー(Mモス)の分野でソニーは世界市場の半分を握っており、ヒューマノイドや自動運転車への搭載が必然的です。指の触覚センサーをカメラの映像の歪みで実現する技術(フィンガービジョン)など、モジュールとしての指センサー開発に大きなチャンスがあると指摘されています。
• シーメンス(Siemens): 海外の強力な競合であり、工場の現場領域(OT領域)の覇者です。彼らはCADにAIコパイロットを組み込み設計を支援し、さらに複数のロボットや自動搬送装置(AMR)をプロンプトで連携・協調させる「親パイロット」の実演を行うなど、AIを積極的に活用し産業構造そのものを変えようとしています。
5. 高市首相への提言(未来への投資)
軍事費増額の国際的な圧力がある中で、高市首相(当時想定)に対し、表向きは軍事費としながら、その資金をロボットの基礎技術開発(例:ロケット製造設備に必要なロボット)に振り向けることで、GDP達成と日本のロボット技術の底上げを図る大チャンスにする、という政策的な提言もなされました。
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未来の産業は、ちょうどオーケストラが指揮者によって制御されるように、AIが大規模言語モデルを通じて物理的なロボット(フィジカルAI)をリアルタイムで制御し、複雑な作業を協調して行う世界へと向かっています。
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