世界には、私たちが立ち入ることのできない秘境がたくさん存在しています。
立ち入り禁止の理由は、宗教的な意味合いを持つものから、危険だから、文化財の劣化を防ぐため、などさまざまです。
一般人は入れない立入禁止場所をご紹介します。
まずは日本を含めたアジアからみていきましょう。
日本人なら必ず学校で習ったであろう「古墳」。
鍵穴のような不思議な形をしていたり、木が生い茂って森のようになっていたりとその状態はさまざまで、日本国内には大小合わせて16万基もの古墳が存在しているそうですよ。
古墳の正体は、当時の豪族や偉い人たちを埋葬した「墓」だと言われていますよね。
立ち入りが許されている古墳もありますが、「大仙陵古墳」「箸墓古墳」など、教科書に出てくる有名な古墳はほとんど立ち入り禁止です。
「天皇の墓」と言われる古墳は宮内庁の管理下に置かれ、発掘や調査すら進んでいません。
古墳の調査をすれば、あの卑弥呼が統治していた「邪馬台国」の謎も解けるかもしれませんが、宮内庁が許すわけないでしょう・・・。
2017年、「神宿る島」宗像・沖ノ島と関連遺産群の構成資産の一つとして、世界文化遺産に登録された「沖ノ島」。
福岡県・宗像市に属し、面積は1㎢に満たない小さな島です。
この島は全域が「宗像大社」という神社の私有地であり、島自体が御神体のため、そもそも無断での立ち入りはできません。
伝統的に「女人禁制の島」として女性の立ち入りが許されていませんでしたが、2017年の世界遺産登録に際し、男性も含めた一般人の立ち入りが全面的に禁止されました。
かつては一般人(男性のみ)は毎年5月27日の現地大祭に際し、抽選で選ばれた200人のみが上陸を認められていましたが、現在はその制度も廃止され、「宗像大社」の特別な許可がなければ立ち入ることができなくなっています。
週刊少年ジャンプで連載中の大人気漫画「キングダム」で、物語の舞台となっている古代中国の国・「秦」。
秦の「始皇帝」は、初めて中国全土を統一した王としても有名ですよね。
始皇帝は、その強大な権力を誇示すべく、死去に際して現在の西安市に壮大な墓を残しました。
なんでもその墓は高さ76m、深さ30m、地中には大きな水銀の海が広がり、「兵馬俑」と呼ばれる兵士の人形が大量に眠っています。
世界遺産にも登録されており、正式名称は「秦始皇帝陵及び兵馬俑坑」。
1974年、地元住民が井戸を掘ろうとしていたところ、陶器らしき破片を偶然発見しました。
地元住民にはその正体や価値がわからず、ほぼ放置されていたところ、翌年偶然近くを訪れた「新華社通信」の記者が秦代の遺物であることに気づき、発掘が行われることとなりました。
現在までに約8000体の俑が発掘されており、「兵馬俑博物館」では実物を見ることができます。
一方、始皇帝の墓である「新始皇帝陵」は破損の可能性が高く、発掘・調査は進んでおらず、一般人は立ち入ることができません。
インド洋に浮かぶ「北センチネル島」は、非接触部族である「センチネル族」が暮らす未開の島です。
インドの一部でありながら、インド政府は深刻な自然災害や病気の発生がない限りはこの島には干渉しない方針で、島民は文明の発達を望まず、自然と共存する昔ながらの暮らしを送っています。
政府は外国人の上陸を認めておらず、島の半径5km以内には近付かないよう警告しており、この警告に従わずに上陸を試みた人間はセンチネル族に殺害されています。
1991年にはインド政府主導で島民との接触が試みられましたが、島民は現代の疫病等への免疫を持っていないため、島外からウイルス等が持ち込まれる危険性を考慮して、1996年に調査は打ち切られました。
近年は近隣の島の観光地化に伴い、観光客が北センチネル島への接近を試みる事例が後を絶たないようで、インド政府は監視を強めています。
アジアの次はヨーロッパ!
アジアの文化とは全く違う、不思議な歴史を持つ立入禁止区域がたくさんあります。
「カタコンブ」は、フランス語で「墓地」の意味。
古代キリスト教徒の地下墓所である場合が多く、ヨーロッパ各地に存在しています。
中でも有名なのが、フランス・パリにある「カタコンブ・ド・パリ」。
壁一面がドクロで埋め尽くされる光景は、一度目にしたら忘れることはできません。
なんと600万人ものパリ市民の遺骨が納められているそうです。
パリでは11世紀ごろから市街地で埋葬が行われてきましたが、17世紀ごろには遺体の腐乱や埋葬地不足に悩まされていました。
腐乱した遺体のせいで衛生状態は最悪で、疫病が流行し、食べ物はたった数日で腐り、地下水も汚染されてしまい飲めない始末。
そこで18世紀半ば、パリ都市部にあった埋葬墓地を郊外に移転することを決定し、かつて採石場として使用されて空洞になっていた地下スペースを骨の保管スペースとして使用することになりました。
すでに埋葬され白骨化していた骨を掘り返して洗浄し、一年以上かけて旧採石場に移転していきました。
最初はただ骨を集めた霊廟だったカタコンブ・ド・パリでしたが、1810年頃に監督を務めたルイ=エティエンヌ・エリカール・ド・テュリー(長い!)という人物が、壁一面にドクロ(頭蓋骨)を並べ、現在のような訪問可能な形にしたそうです。
現在は観光可能な一部のスペースをのぞいて立ち入り禁止となっています。
パリでは知る人ぞ知る観光地で、事前に予約しないと入れないほど人気だそう。
かつては採石場だっただけあってその面積は非常に広大で、観光可能なスペースはカタコンブ・ド・パリのほんの一部です。
勝手に立入禁止スペースに足を踏み入れる不届き者は後を絶たず、中で迷ってしまって警察のお世話になる人も少なくないようです。
カトリックの総本山、バチカン市国の貴重な書物を保管する「バチカン使徒文書館」。
「教皇の私有図書館」という位置付けで、非常に歴史的価値のある書物が揃っており、一般人は立ち入り禁止の聖域です。
最も古いものでは8世紀にさかのぼり、12世紀終わり頃からの書物はほぼ完全な状態で残っているとのこと。
教皇の死後75年が経過すると在任期間中の文書が公開される慣習になっており、最近では2020年3月には教皇ピウス12世の任期分(1939-58年)が公開され、「第二次世界大戦期の書物がようやく公に!」と話題になりました。
など、非常に価値のある文書がたくさん保管されています。
バチカンの関係者を除いては唯一、研究者が研究目的で入館することが認められていますが、研究に関する学位を持つこと、研究者であること、推薦状をもつこと、などの厳しい条件が設けられており、さらに入館時には個人情報を提供し、研究の目的を明らかにしなければいけません。
トムハンクス主演の映画「天使と悪魔」で、主人公のロバート・ラングドン教授がバチカン図書館に何度も入館申請を出しては却下されていたというシーンがありますが、相応の理由がないと許可が下りないのでしょうね。
謎が多いロシアにも、もちろん立入禁止区域があります。
ソ連時代には「ZATO」と呼ばれる閉鎖都市が作られ、地図にも載らず、地名もなく、住民以外は立ち入ることのできないエリアとして隠されていました。
これらは重要な軍事拠点や核開発施設などで、外国人はおろか、国民ですら許可なく立ち入ることは許されませんでした。
しかも、住民には箝口令が敷かれ、ZATOに関して話すことすら許されていませんでした。
ソビエト崩壊後、多くのZATOは無人化・廃墟化するか、または正式な名称を与えられ解放されるかのどちらかでしたが、いまだに公表されておらず、謎に包まれたままのZATOも残っていると言われています。
また、ZATOであることが公表されているものの、閉鎖されて立ち入ることのできない都市も存在しており、ウラル山脈の南部に位置する「メジゴーリエ」、ロシア中央に位置する「ドゥディンカ」などはその代表です。
現存する閉鎖都市の多くは天然ガスや鉱物の採掘地であったり、森林資源が多く存在していたりと、エネルギーや資源を守るために閉鎖されているのではないかと考えられます。
やっぱり、ロシアには謎が多いですね。
北極圏に位置する、ノルウェー領・スヴァールバル諸島。
一般人が定住する地としては最も北に位置し、多くの研究拠点にもなっています。
島自体は誰でも立ち入ることができ、あまりの寒さで人が来ないからか、特別にビザなしでの入国が許されており、白夜やホッキョクグマが見られることから観光地としても人気です。
しかし、島にある「スヴァールバル種子保管庫」は一般人は立ち入ることができず、許可された一部の人しか入ることができません。
この種子保管庫は、現代版「ノアの方舟」とも呼ばれ、2008年にビル・ゲイツが主導して建造したものです。
正式名称は「あらゆる危機に耐えうるように設計された終末の日に備える北極種子貯蔵庫」で、その名の通り、気候変動や災害、核戦争といったあらゆる危機に備え、種子の保管・貯蔵を行っています。
世界中の種子を保管しており、開設から10年が経った2018年時点で100万種類以上もの種子を保管しているそうです。
日本からは「オオムギ」の種子が保管されているとのこと。
運用資金は14の参加政府の政府開発援助の任意拠出からなっており、アメリカ、ノルウェー、イギリス等のほか、途上国からも拠出しています。
また、ビルゲイツ財団などの民間団体からの寄付金が全体の1割を占めています。
貯蔵庫が使われることが無いのが一番良いのですが、予期せぬ危機に備えて保管しておくのは大事ですね。
いかがでしたか?
今日は「世界立ち入り禁止箇所」をご紹介しました。
有名な場所もあれば、知らなかった場所もあったでしょうか?
世界は広いですね!!!
|
|
|
|
|
動画を探す
▽チャンネル/YouTuberから探す
▽人気のキーワードから探す
▽年代で探す
2020年代
2010年代
2000年代
1990年代
1980年代
1970年代
1960年代
もっと前